日本の借家規定
借家契約解約のための正当事由に関連して、現行およびかつての借家契約解約に関する規定を掲載いたします。
(旧)借家法
大正10年4月8日法律第50号
最終改正 昭和41年6月30日法律第93号
- 第一条の二(賃貸借の更新拒絶又は解約申入の制限)
- 建物ノ賃貸人ハ自ラ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ為スコトヲ得ス
カタカナで読みにくいですが、これが有名な「正当事由」を定めた条項で、昭和16年の住宅難の時代に、借家人を解約から保護する目的で導入されました。当初は家主が自己使用の意志を示せば比較的簡単に解約が認められたそうですが、戦後の住宅難の時代に効果的な保護立法が行われなかったため、司法の判断で借家人保護のために厳しく解釈されることとなったわけです。
借地借家法・・・2000年2月29日まで
平成3年10月4日法律第90号
第3章 借家
第1節 建物賃貸借契約の更新等
- 第26条(建物賃貸借契約の更新等)
- 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
- 2
- 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
- 3
- 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
- 第27条(解約による建物賃貸借の終了)−略−
- 第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
- 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
- 第29条(建物賃貸借の期間)
- 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
- 第30条(強行規定)
- この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
第2節 建物賃貸借の効力
第31条(建物賃貸借の対抗力等) −略−
第32条(借賃増減請求権) −略−
第33条(造作買取請求権) −略−
第34条(建物賃貸借終了の場合における転借人の保護) −略−
第35条(借地上の建物の賃借人の保護) −略−
第36条(居住用建物の賃貸借の承継) −略−
第37条(強行規定) −略−
第3節 期限付建物賃貸借
- 第38条(賃貸人の不在期間の建物賃貸借)
- 転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物を一定の期間自己の生活の本拠として使用することが困難であり、かつ、その期間の経過後はその本拠として使用することとなることが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、その一定の期間を確定して建物の賃貸借の期間とする場合に限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条の規定を適用しない。
- 2
- 前項の特約は、同項のやむを得ない事情を記載した書面によってしなければならない。
- 第39条(取壊し予定の建物の賃貸借)
- 法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第30条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。
- 2
- 前項の特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。
平成3年に旧借家法を廃止して制定された借地借家法は、正当事由に関して第28条を置きました。旧法と比較してかなり規定が細かくなり、いろいろな条件があげられていますが、これは「旧法に関する司法の判断をそのまま取り入れたものである」と説明されています。新たに第3節:期限付建物賃貸借が規定され、第38条で自己使用による解除が容易に行える可能性も出てきました。
なお、ドイツ民法典と比較すると、日本の借地借家法の規定は粗く、第38条による解約の解釈についても複数の考えが出されているそうです。司法の最終的な判断が出されていない現時点では、自己居住の可能性のある住宅を貸すのは危険だ、という気持ちも分かります。
借地借家法・・・2000年3月1日から
「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」(平成11年12月15日 法律第153号)で、第38条が次のように改正されました。
第3節 定期建物賃貸借等
- 第38条(定期建物賃貸借)
- 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
- 2
- 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
- 3
- 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
- 4
- 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。
- 5
- 第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。
- 6
- 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
- 7
- 第32条の規定は、第1項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。
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