意見いろいろ
このページを開設した98年前半には、自由に書き込んでいただくページを設けていました。そこで、そこにいただいた意見と、新聞の投書欄で見つけた記事を紹介いたします。定期借家権についての意見を紹介させていただきたいと思いますので、私までメールでお知らせ下さい。
借家人過保護制度おかしい
朝日新聞「声」1997年12月26日
- 借家制度の改正案が考えられている。大歓迎だ。現在の制度は、あまりに借家人を守りすぎてはいないだろうか。
- しばらく転勤で首都圏を離れ、昨年戻ってきた。貸家にしていた賃貸契約の期限が今年七月だったため、夫は仮住まいした。約束の七月が来たので、事情を説明し、返していただくよう頼んだ。だが、応じてはもらえなかった。
- 契約仲介の不動産業者に相談した。六ヶ月以上無料貸しして返してもらうのが普通だとのこと。三人の弁護士に相談した。もっと高額を支払うのが常識のごとく、話しが大きくなる。
- 結局、双方で話し合い、約九ヶ月の家賃分支払いで立ち退いてもらうことになった。
- 不動産業者や弁護士の間では、賃貸契約期限は意味がなく、永久に続くもの、立ち退き料を支払って出てもらうのが常識のようだ。
- 世間一般では、こんな常識は考えられない。何のための契約書なのか。何のために仲介していただくのかわからない。私の経験から、借家制度は、借り手だけを保護する制度であってはいけないと思う。私の場合、弱者は貸主であった。
学生の話から
98年2月15日の発言から
- 昨年、次のようなことを経験しました。うちの学生が卒業に当たり、家主さんから「畳の表替えの費用を出すように」と求められたのです。学生本人は「自分が入居したときは新しい畳でなかったのに」と納得できない様子で、親に相談したところ「そんな必要はないはずだ」と言われたそうです。
- 私も調べたのですが、「通常の使用による損耗なので支払う義務はないはずだ、念のため仲介した不動産屋さんに相談したら」と話しました。しかし、その学生は結局支払って卒業しました。不動産屋から、「他の学生さんにも払っていただいています」と言われたからです。私は契約書を見ていないので何とも言えませんが、裁判費用よりも畳の表替えの費用がはるかに安いことは確かです・・・
敷金の問題
98年3月19日の発言から
- はじめまして.こんど引越しをするのですが,新居の契約書をみると修繕にかかる費用(キーの交換代金も含む)は「退去時に敷金から差し引く」となっていました.おかしいと思って尋ねても,「みなさんそうしてもらってますから」.まさしく「学生の話から」と同様の経験をしました.しつこく尋ねると,バブル期あたりからそのような「慣例」になってきたとのこと.したがって,「敷金」ははじめから修繕・清掃費を含めて計算されているようです(借り主に戻るのは良くて1/3程のようです).
- 定期借家権導入によって「借家の選択肢が増える」といわれますが.こうした形で敷金が高く設定されているのでは,(とくに低収入の)借家層にとってのメリットにはならないと思います.
講義資料に使わせて下さい
98年6月26日の発言から
- ひさしぶりです。本日授業(都市整備論)で日本の住宅政策とスウェーデンの住宅政策を対比して話したのですが、毎回取っている質問・意見用紙に定期借家について詳しく話してほしいとの希望が何人化の学生からあったので、阿部先生のこの資料を借用して来週話してみたいと思います。
- 私自身の経験では、地方勤務の時に4年ほど賃貸にしたのですが、期間が限定の契約締結しましたが、そのために相場よりも安く家賃を設定させられました。また、最初は法人貸しにしたのですが個人よりも安くなるとのこと。転勤でまた戻るときには、予定よりも早くなったため半年間待たされさらにその期間の家賃も安くさせられた。これらは、居住者の権利を考えるとやむを得ない経過かなと思いますが、大家からすると期間が来たら無条件で明け渡す条件なら自由に家賃などを設定できる可能性は大きくなる。また建て替えも楽になる。これらは当然供給側の論理。昨年から家族ですむための住宅を探したときに、賃貸住宅でもと考えたが、地方で家族のための恒久で一定広い賃貸住宅は皆無に等しい。やむをえず持ち家を選択せざるを得ない。
- 借家市場を広げることと、居住者の権利保護を両立させる方策を考える必要はあるが、それが定期借家権だけが突出しているところに、現在のわが国の政策の貧困さ、あるいは政策の階層性、階級性が見られるように考えられる。
経済活性化のためにも導入
98年7月28日の発言から
- 早期導入を望みます。死亡した親から引き継いだ店子と家賃の値上げで10年間の間に5回の家賃値上げの調停をしました。不動産鑑定士の鑑定(鑑定結果により費用が店子持ちになった)を依頼するようになってやっと店子が出ていきました。最終月の家賃が21万5千円の物件は、出ていった後、35万円で賃貸できました。今は空いている事務所(ここは40万円を希望しています)を貸すつもりはありません。この法案が通れば30万円でも貸したいと思います。空けているのはやはり不経済ですから。しかし、今の法律では、将来自分が事業をしたい旨、伝えても出ていってもらえる保証がないからです。
- 但し、専用住居の場合は事業用と値上げ率や、契約期間等で、事業用とは一線を画するべきとは思います。
現段階ではノー
98年11月3日のメールから
- 「定期借家権」の導入について、イエスかノーかと言われると、現段階ではノーであろうと思います。大変微妙なところですが。導入を認めるためには、(1)適正な家賃の評価システムと、(2)十分な借家の流通する住宅市場、がなくてはならないでしょう。
- (1)家賃評価は、現在、土地の取引事例による価格づけによって建築コスト(再築費?)が計算され、また、周辺の家賃価格との比較によって決められているものと思います。土地の価格の算定根拠は、借家経営のためのものと、売買による収益をあげるものでは当然別のものであるべきなのに、おそらくどちらも取引事例に基づく価格設定となっており、短期間に投下資本を回収できる分譲物件と比較して、賃貸物件は不利であろうと思います。借家経営は長期に亘るものであり、社会的な役割も大きいのだから、例えば税制上の優遇措置をもっと大きくするなどして、借家経営自体が事業として成り立つような社会の仕組みを作る必要があるでしょう。
- (2)借家の流通する住宅市場ですが、現在、市場に供給される借家は、ワンルームや新婚世帯向け等の収益物件が多く、建物自体の品質も分譲と比べてよくないのが普通です。20年30年住むことよりも、3〜5年で転居してもらい(学生など)保証金や敷金で経営が成り立っているところがほとんどでしょう、(1)ともつながりますが。現在借家で生活している人が万一追い出されたら、代わりの住宅が見つかりにくいわけで、それならここに居座ってやろうとか、少しでも立ち退き料をとろう、という方針で家主に対処するでしょう。仮にすぐ近所に同程度の賃貸物件があれば、比較的スムースに賃貸契約の解除ができるでしょう。
- というわけで、制度の導入によって住宅市場を改革するのではなく、住宅市場の受け皿を整備してから制度を導入しないと借家権の保護上問題であろうと思います。
- ただ、現在、木造密集市街地の更新がすすまないことや、用地買収の進展がままならずに都市計画道路や再開発が進まないことの中には、借家人対策の難しさがあるため、できるなら借家権の制限も望ましいのでしょう。昨年の密集新法による「居住安定計画」による正当事由の適用除外などは、その理念に基づくものなのでしょう。それ以前に、一般の市民が、居住に関する権利や、住宅事情の改善、都市景観、街並み保全に対する各人の義務と責任、などについて考えるようになってもらうことが望ましいのでしょうが・・。
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