定期借家制度とは
「定期借家制度」と聞いただけではピンと来ない方が多いと思います。そこで、法律雑誌「ジュリスト」が昨年12月の1124号で行った特集記事をもとに、定期借家制度を説明したいと思います。
定期借家の基本的性格
- 「契約した期間が満了したら、確定的に借家権が消滅する」という点が特徴で、更新を請求する権利は一切ありません。もちろん、家主と借家人の意向が一致すれば、契約の更新も可能ですが、何回更新されようとも、更新請求権はありません。任意の合意で更新が成り立たなければ、期限が来た日に直ちに住宅を明け渡さねばなりません。(ジュリストNo.1124,p.21)
- 「定期借家制度」を設定できるのは、定期借家制度を認める法改正が行われた以降に契約される借家契約に限ります。したがって、既存の借家は従来通りの「正当事由つき借家」のままです。ただ、既存の借家でも、現在の入居者が転居して新たに契約が行われる場合には、家主が「正当事由つき借家」「定期借家」のどちらかを選択できるので、「正当事由つき借家」に入居することは困難になるかもしれません。
定期借家論の導入を進めている方の意見も紹介しておきたいと思います。
- 定期借家を全面的に導入すると住宅問題の激化が懸念され、公共住宅の大量供給が必要になってしまう、という意見が聞かれます。しかし、既存の借家契約には定期借家制度を及ぼさないので、従来通り正当事由による保護が継続され、借家人が追い出される心配はない、と主張されています。
- 「正当事由つき借家」と「定期借家」を選択するのは借家人の方です。「正当事由つき借家」は長く居住できるから権利金・敷金が多く必要なので、普通の借家人は選ばないだろう、と思われるそうです。これを逆から見ると、「正当事由つき借家」は家主にとってそれなりの有利さが残るわけなので、供給がなくなるとは考えられない、ということです。
定期借家制度の導入論者は、日本における持家と借家の規模格差が非常に大きく、諸外国にも例を見ない格差がある点を問題にしています。定期借家の導入で、規模の大きい借家の供給が進む、と主張されています。この点に関し、見落とされている点をひとつ指摘しておきたいと思います。実は、昨年の都市住宅学会の場での議論で述べたことなのですが、もう一度詳しく説明したいと思います。
- 私は、日本における持家と借家の規模格差が大きい最大の原因は「生活様式の違い」にある、と考えています。「和洋折衷」という言葉からわかるように、わが国では和風と洋風の生活様式が混在しています。これから、次の二つの現象が生じます。
- 洋風のイス生活は、和風の生活に比較してより広い空間を必要とする。
- 「和洋折衷」、つまり両方の生活を行おうとすると、外国の住生活で一般化しているより広い空間が必要になる。
- アメリカはともかく、日本の平均的な住宅の広さをヨーロッパと比較すると、持家においては広く、借家では狭くなっていますが、これは上記の考えで容易に説明できます。日本の借家が狭いのは、畳主体の生活を行っているからで、持家が広いのは、「洋風住宅+和室」というように、ヨーロッパにない部分が追加されているからだ、というのが私の意見です。
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