- 住宅関係者にはご存知の方も多いと思いますが、「定期借家制度(契約期限が来たら当然解約される借家契約)」が2000年の3月1日から導入されることとなりました。推進派の方々は、解約を強く制限されている現行の借家制度では後に家賃を上げることが困難なため、当初の家賃が高く設定されている、だから定期借家の導入で家賃が低下し、借家人のためになる、と主張しています。しかし、契約更新時に借家人が家賃値上げに応じないような場合、その追い出しに通じるのではないか不安です。転居には時間も経費も必要なので、家主が値上げを要求した場合、「転居のことを考えると、値上げに同意した方がましか」となり、家賃水準があがって生活コストが上昇する、ともなりかねません。
- 私は、1990年頃のドイツの雑誌を読んでいて、ドイツ民法典の認める正当事由による借家の解約が増えているという記事を偶然見つけました。そこで、その記事を手がかりに連邦憲法裁判所の判例を中心に調べた結果、「定期借家権導入論者の主張していることは正当事由の適正化(拡大)で十分対処できる。一方、提唱されているような定期借家権の導入は借家人の利益を損い、社会問題となりかねない」という考えをもつに至りました。
- ドイツでも借家の解約告知には正当事由が必要です。しかし、家主には市場家賃に応じた値上げ請求権があり、自己使用の場合は立ち退き料なしで転居を求めることができます。
98年秋の都市住宅学会で、ドイツの正当事由に関する判例の主要部分を発表することができしました。下の左側にある PDF(Portable Document Format) と書かれたアイコンをクリックすると、その時の報告(2ヶ所修正しております)を読んだり印刷できますので、ご覧下さい。なお、この報告を見るにはアクロバットリーダーというソフトが必要です。アクロバットリーダーは無料で配布されていますので、お持ちでない方は右側のアイコンをクリックしてください。
報告:

ソフト:
- また、ドイツにも定期借家制度もありますが、日本の借地借家法38条(2000年2月29日まで)の「賃貸人の不在期間について期限付建物賃貸借の規定」と比べると、かなり広くなっています。たとえば、「親が死亡して家を相続したが、定年まではマンションに住み、その後に住みたい」、あるいは「遠くで働いている息子がやがて帰って来るので、それまで貸したい」ような場合、日本の期限付賃貸借では対象外ですが、ドイツでは定期借家が可能です。この他にも、「家主自身が居住する住宅に借家が1戸だけ附属している場合は、正当な事由がなくても解約を告知できる」という規定もあります。これは人間関係を考慮した規定ですが、広い一戸建て住宅に住む高齢夫婦や高齢単身者が増加している現在、コンパクトな市街地のために一考の価値がある規定かも知れません。
- 制度にはプラスとマイナスがつきものです。たしかに従来の日本の制度にはマイナスもありましたが、新しい定期借家制度には別の点でマイナスがあります。プラスからマイナスを差し引いたものを「実効点」と名付けるなら、『この実効点が最も多いのはどのような制度か』という観点から考えて下さい。本来はこのような冷静な議論が必要だと思い、このホームページを作成した次第です。ドイツの制度も参考に、皆さんも柔軟に考えてみて下さい。なお、新聞の投書欄で見つけた記事と、このページ(98年の前半に、自由に書き込んでいただくページを開設していました)にいただいた意見を「意見いろいろ」に紹介しております。
- ところで、実はこのページは定期借家制度が成立したら消す予定だったので、「暫定企画」と宣言していました。昨年のページ更新情報にも書いているように、「民間賃貸住宅供給促進等特別措置法」が成立した後の99年末に、一旦ホームページからのリンクを削除しましたが、ページ自体はそのままサーバに残していました。その結果、ニフティのウェブマガジンWebMagに紹介されることとなりました。考えてみたら、これからが定期借家制度の本番です。そこで、とりあえず「暫定?企画」としてホームページからのリンクを復活することに致しました。いずれ、内容を整理したいと思っていますが、今はとても時間がありません。(00.03.06)
ページの内容
- 定期借家制度とは
- 日本の借家規定
- 意見いろいろ
- ドイツ借家権Q&A
定期借家権に関連するサイト
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