「豊かなスポーツ文化を」
【福島民友 2月9日15面より】

切り抜き

 欧米で主流の「総合型地域スポーツクラブ」。子どもから高齢者、障害者を問わずだれもがスポーツを楽しめるという理想的なクラブだ。文部省(現・文部科学省)が昨年夏に策定したスポーツ振興基本計画の中でも「生涯スポーツ社会の実現のために必要不可欠」とされている。本県でも各地でモデル事業が展開された。現在は、福島市旧市内と田島町桧沢地区の住民がクラブ設立に向けて準備を進めている。どちらも行政が話を持ちかけたわけではなく、「わが子のスポーツ離れを改善したい」と住民自らが動きだした。新しい地域スポーツの形態を一からつくり出していくことは決して容易なことではないが、住民らの「子どもたちに豊かなスポーツ文化を伝承していくために」という思いが計画を一歩ずつ前進させている。このような住民の情熱と行動力こそが理想的な社会を築いていくのだろう。

(報道部・市川香奈)


子どもたちの運動離れ深刻
 少子高齢化に伴い児童数が減少。塾通いや遊びの形態の変化によって子どもたちのスポーツ離れも深刻化している。福島市旧市内でも例外ではなく、地区内の児童でスポーツ少年団に所属しているのは全体の二〇%にも満たない。

 そんな現状を憂慮した住民が「自分たちの手でスポーツの楽しさを共有できる環境をつくっていかなければいけない」と立ち上がった。スポ少関係者や父母を中心に「地域スポーツの未来を考える会」を結成。だれもがスポーツを楽しめる「総合型地域スポーツクラブ」をつくろうと、同クラブ構想の第一人者、福島大教育学郡の黒須充助教授とともにクラブについての勉強会を重ねた。

 今月一日には地区体育協会や体育指導員、行政、小学校関係者を集め、全体説明会を開催。設立準備委員会の結成に向けてより多くの人に協力を呼び掛けた。四月中旬か下旬には立ち上げる予定だ。

 クラブの構想や目指すものなどは説明を受けて理解できても、見たこともないクラブのイメージは漠然としか浮かばず、不安やとまどいが隠せないのは事実。しかし「地域スポーツはこのままではいけない。なんとか改善しなければ」というメンバーの共通した気持ちが計画を実現に向かわせている。

会員の幅カギ 熱意にエール
 まだ準備は始まったばかりだが、今後、クラブを本物の“総合型”として地域に根付かせるためには、クラブ会員の幅をいかに広げていくかがカギとなるだろう。スキルアップを目指す子どもたちの欲求を満たさなければいけないし、一方ではだれもが気軽に参加できるレクリエーションとしてのスポーツも提供しなければいけない。

 スポ少(小学生)と一般だけでなく、青少年期の子どもたちがいる中学校、高校なども巻き込んでいく必要がある。しかし、地域発信型のクラブ構想に中体連、高体連を中心とする既存の学校スポーツを取り込むにはかなりの時間と労力が必要だ。

 また、総合型地域スポーツクラブは行政主導、提供型での運営は困難。行政はあくまでもサポート役としてわきまえるとともに、住民の自主性と熱意、高いマネジメント感覚が必要となるだろう。

 一九九九(平成十一)年七月には、全国の総合型地域スポーツクラブやスポーツ系団体の設立支援を行う「クラブネッツ」がNPO法人として本県から認証を受けた。スポーツクラブの運営もボランティア活動と同じように地域に頁献するものと認められたということになる。

 スポーツを核にした新しい地域コミュニティーの創造。総合型地域スポーツクラブの可能性に大きな期待が膨らむとともに、実現に向けて挑んでいる住民らの熱意に心からエールを送りたい。


福島民友のページへ

【福島民友:2001.2.9】 <TOP PAGE>