【スポーツ21世紀 新しい波 …12】

切り抜き

 最近、地域でのスポーツ活動のあり方が注目されている。昨年9月には文部省(現文部科学省)が「スポーツ振興基本計画」を示し、10年後までに全国すべての市町村に「総合型地域スポーツクラブ」を設置するという目標を掲げた。しかし、どのようにクラブを作り、運営すれぼいいのか。例の少ない事業だけに、意欲はあっても疑問を抱える人や自治体も少なくない。そんな疑問に答えてくれる組織がある。非営利組織(NPO)の「クラブネッツ」だ。
 クラブネッツは1998年、理事長の黒須充・福島大助教授(42)、副理事長の水上博司・三重大助教授(35)らが発起人となって設立された。使命を「全国100カ所の総合型地域スポーツクラフ及びスポーツNPOの設立を支援する」と掲げ、インターネットのホームページ、シンポジウムやセミナーの開催を通じて、総合型クラブやNPOの設立、運営に関心を持つ人々に広く情報や交流の場を提供している。
 設立のきっかけは、黒須さんと水上さんの雑談だった。「学校や行政に任せきりでは生涯スポーツを実践する環境は整わない。市民が主体となってスポーツの場を作る動きを後押しする必要性がある」と意気投合。98年5月から季刊の会報の発行を始め、スポーツ行政の関係者など約250人の購読者に対して、わかりやすい言葉で総合型クラブの説明や事例の紹介をすることから始まった。
 現在の活動の中で特徴的なのは、メーリングリストの存在だ。クラブ作りや地域のスポーツ活動に関する投稿文が、登録者に電子メールの形で配信される。現在の登録者は約160人。行政、学校、企業、スポーツ指導者など、あらゆる立場の人々が職業や競技などの区別なく参加している。投稿内容も疑問、提言、体験談などさまざま。多い日には10通に及ぶ投稿が交わされる。ある人が自分の活動で生じた問題点を明かしたら、複数の人から解決策が提案されるなど、互いの活動を支え合う動きもある。
 黒須さんは、こうした人々を「粒違いの人材」と呼ぶ。「地域のスポーツを発展させるには、粒違いの人材が結集して、互いの経験や能力を発揮し合うことが必要。メーリングリストの登録者の多彩さは、まさにその流れを作っている。最近は私たちが情報を提供するよりも、登録者から提供してもらうことの方が増えています」
 クラブネッツ自体も、99年にNPOとして申請し、認証を受けた。クラブの目的を明確にすることの大切さや、難しい手続きの仕方などは、黒須さんらが経験に基づいて助言している。5月には富山県でセミナーを主催し、全国で総合型クラブの設立や運営に携わる人々や研究者が集まって議論をする予定。「意欲をもった人は全国にたくさんいる。そんな人たちに勇気を与え、夢の実現を支援できる存在になりたい」。黒須さんの願いは、全国の地域スポーツを発展させる大きな力になろうとしている。
 クラブネッツのホームページは http://www2u.biglobe.ne.jp/~sports/clubnetz/

【石井 朗生】  =毎週土曜日掲載

【毎日新聞:2001.3.31】 <TOP PAGE>