ホーム



SSF笹川スポーツ財団発行『スポーツ・フォア・オールニュース Vol.22』(1997年11月)

総合型スポーツクラブクラブの作り方 第3回

 
 先ごろ発表された総務庁の「社会生活基本調査(1996年)」によれば、週休2日制の浸透に伴い、91年の前回調査より、余暇時間は増えているものの、スポーツ時間は減少しているそうだ。ここ数年、生涯スポーツ社会の実現に向け、各地で様々なスポーツ活動が行われているにもかかわらず、なぜ人々の生活の中にスポーツが定着していかないのだろうか。少なくとも言えることは、これまでの取り組みが、スポーツと本来主人公であるべき住民との間にあった距離を、広げこそすれ、狭める役割を果たしてこなかったということである。

【住民主体のスポーツ環境づくり】
 秋田県琴丘町(人口約 7,000人)は、平成8年度から3年間、文部省の「総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業」の指定を受けたことをきっかけに、全町民を会員とした地域スポーツクラブ連盟を設立。38の自治体を14のスポーツクラブに再編して、住民主体のスポーツ環境づくりに着手している。
 本来、改革には不安はつきものである。しかし、琴丘町にはそれを感じさせない何かがあった。それは、地域のスポーツクラブを単なるお仕着せのものとしてではなく、住民にとって本当に必要なシステムへと育てていこうとする姿勢である。
 「スポーツ活動をどれだけ行うかも大切ですが、それよりもそのクラブにおいて、地域社会とどれだけ触れ合うことができたかが大切です」との思いの中に、これまでの活動が見落としてきた、何か大切なことが隠されていたようだ。
 スポーツクラブとは、サッカーやバレーボールといった競技種目だけを行うところ、という先入観を捨て、一見したところ、スポーツとは何の関係もない活動をも含む所としてとらえてみる。たとえば、お母さんが小さな子どもを連れてクラブまで散歩することも、ただクラブに練習風景を見に行くことも、また、お年寄りにとってクラブに行けば必ず誰かと会える、それが楽しみでクラブ通いが日課になることなども、スポーツクラブの活動として考えていこうというのだ。
 こうした見方に立ってクラブづくりを考えた場合、スポーツに無縁な人は一人もいなくなり、すべての住民がスポーツクラブを核とした地域社会での生活を楽しむことができるではないか。つまり、こうした枠にとらわれないクラブに対する考え方が、住民の生活の中にスポーツを定着させる第一歩となるということだ。
 いずれにせよ、形づくりから入るのではなく、クラブの内外で展開される住民の姿を描きながら、自主運営型のクラブづくりを目指している琴丘町の事例は、補助事業が打ち切られた後も、さらに発展していくだろう。

 表1に、琴丘町のこれまでの体育・スポーツ振興の足跡を示したが、他町村にはない琴丘町ならではのアイデアから発展したものも多く、今回の指定事業に関しても、町自身が、単なる行政の仕事としてそつなくやり遂げることに重点を置くのではなく、これを足がかりとして、さらに血の通った町政や県政につながる施策へと発展させ、県内はもとより、国内、海外に向けて、体育の町・琴丘をアピールしていこうという姿勢がうかがえる。

ホーム