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1.はじめに
地域のスポーツクラブを基盤とした体制が,一体どのように組織化されているのかを見てみよう。
図1.1に示したように,ニュージーランドでは,ヒラリーコミッションを主軸に,@その業務を代行するスポーツトラスト(全国に17箇所),A各種目腹競技団体(87種目),Bカウンシル(74市町村)の3つのルートを帳して,スポーツクラブに対する様々な支援が行われている。併せて,地域住民に対しても,スポーツに対する関心が高まるようなイベント・教室等を企画・提供している。
ニュージーランドは,国土が日本の約72%,人口は約350万人(静岡県とほぼ同じ)である。つまり,このニュージーランドのような体制を我が国に当てはめて考えてみた場合,都道府県レベルのモデルとして多いに参考になるのではないだろうか。
また,ニュージーランドのスポーツ振興に大きく貢献しているのが宝くじ(Lotto)の存在である。宝くじ収益金の20%は,ヒラリーコミッションへ助成されている。これはヒラリーコミッションの全予算額の80%を占めている(ちなみに政府からの助成金は予算額の11%程度にしか過ぎない)。 更に,宝くじ協会は,NPOとしての各種目腹競技団体,スポーツトラスト,地域のスポーツクラブ等に対して,公共施設建設の助成も行っている。5NZドルの宝くじを買えば,1NZドルがスポーツを含めたコミュニティに還元されるといった仕組みがメディアを帳して伝えられていることにとても感心した。
2.スポーツノースハーバー
(1)スポーツノースハーバーの概要
スポーツノースハーバーは,全国17箇所にあるスポーツトラスト(いわゆる広域スポーツセンター)の一つで,基本的業務内容はヒラリーコミッションのノースハーバー地方(約28万人)担当という役割を旺たしながら,その地域の実情に合った独自の方策で,スポーツを帳した地域の活性化やアイデンティティの形成を目指している公益法人である。
(2)収支表と経営感覚
図1.2に示したように,予算の38.9%がヒラリーコミッションから,15.1%が地方当局(ノースショアシティとロドニーディストリクトの2市)からの助成金で占められている。確かにヒラリーコミッションなど公的機関からの助成金が5割を占めるものの,残りの5割は自らの自助努力でまかなっている。つまり,予算消費型の機関ではなく,経営体としての自覚を持って運営されていることが特徴的である。地元の信用金庫(WestpacTrust)をはじめ,日産,キャノン,コカコーラ,ビール会社,ラジオ局,新聞社,航空会社など数多くの企業から協賛金を集め,財政的自立を図っている。
(3)スポーツクラブの育成支援 その1
〜クラブマネジャーの養成〜
スポーツノースハーバー(広域スポーツセンター)の基本的スタンスは,地域のスポーツクラブを設立&運営(マネジメント)することができる人材を数多く育て,実際の普及活動はクラブに任せていこうといった考え方である。スポーツクラブに対する相談窓口の開設,ボランティア指導者の発掘とクラブマネジャーの養成を目的としたセミナーの開催,クラブ間のネットワークの構築などを行っている。
マネジメント能力に欠け,財務への知識が不足しているクラブに対しては,セミナーへの参加を呼びかけ,たとえば,下の滋真のようなテキスト(ヒラリーコミッション発行「running
SPORT」)を活用し,住民自らの手でクラブを運営していくことがひいては地域社会への貢献につながり,助成に@ボランティアの発掘と雇用
(Recruiting and Retaining Volunteers)
Aクラブの運営
(The Club Secretary)
B会議の開き方
(Managing Meeting)
Cマーケティングと公的機関との関係
(Marketing and Public Relations)
D基金・補助金とスポンサーシップ
(Funding and Sponsorship)
Eクラブの作り方
(Club Planning)
Fクラブの運営資金
(Managing Money)
Gスポーツイベントの企画
(Event Management)
Hスポーツチームのマネジメント
(The Sports Team manager)
(4)スポーツクラブの育成支援 その2
〜コミュニティスポーツファンド〜
スポーツノースハーバーは,スポーツクラブに対して,補助金を支給する機関ではない。財政危機やメンバーの減少に悩むクラブに対して,どうやってお金を集めたらいいのか,メンバー獲得のための具体的な方法は,などについて相談業務を行っている。
図1.1に示したように,ヒラリーコミッションからの「コミュニティスポーツファンド」(住民1人当たり1.3NZ$)は,各地域のカウンシル(行政部局)を帳して,ローカルクラブに助成される仕組みになっている。
補助金を申請することができるクラブは以下の条件を満たしていることが必要である。
@スポーツ,フィットネス,身体的なレジャーを中心に活動を行っている団体。
A非営利的な団体であること。
B財務担当(Tresure)が少なくとも1人いること。
C財政的に自立した団体であること。
また,補助金の申請に当たっては,収支のバランスシートが記された年間報告書の提出が義務づけられている。
(5)さまざまなプログラムの提供
@アフタースポーツプログラム
両親が働いている子供達や運動の苦手な子どもたちを対象に,放課後や休日,学校の施設を使ってプログラムを提供している。
Aアクティブリビング
35才〜50才のスポーツから縁遠くなる傾向にある年代と50才以上の中高年を対象としたプログラムである。もちろん障害者向けのプログラムも提供している。
Bハブアゴーデイ
2月の第3日曜日の朝10時から午後3時までの間に30種目の中から6つを選んで体験し,担当者のサイン入り用紙を抽選箱に投函するラリーゲーム。抽選で千NZ$(約7万円)が当たる。約2万人が参加。スポーツノースハーバー傘下のクラブが全蔓的に協力しており,クラブの紹介と共に住民がスポーツを始める契機となっているイベントである。
(6)地域振興の要
スポーツノースハーバーの先見性は図1.3に集約されよう。
広域スポーツセンターとしての「スポーツノースハーバー」が,地域のあらゆる分野の機関との連携を図って,スポーツを推進しようといったスタンスを読みとることができる。つまり,その地域のスポーツが盛んになっていくことがそのまま地域づくり・社会づくりにつながっていくといった図式を描き,スポーツクラブの育成・定着,既存のスポーツクラブの統合,クラブの活動拠点施設の建設やクラブ運営推進のためのアドバイス,ボランティア運営支援,クラブマネジャーの育成支援,スポーツイベント企画運営支援などを行っている。
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