場 champ(36)


 場は、一定の自律性を持ち、社会的位置の構造化された空間である。一定の特殊性を帯びた利害がかけられたゲームないし闘争の成立する社会的空間であり、前章で述べたコンテクストを構成する。「場」は決して見える形では存在しないために往々にして無視されがちである。また、「場」は、一定の成員や組織・資本・規則などを持っているわけではなく、ゲームの状況によってさまざまな形態をとる。
 「場」にはいくつかの特性がある。(37)

  1. 特定の「場」の利害は、教育されてこない者には認識できないために、他の「場」の利害はばかばかしく損得を離れたもののように見える。日展系の作品の価値が現代美術の作家にはわからないのである。
  2. 特定の「場」の権威の独占を最大の賭け金とする。これを得ることによって特定資本の分配構造を維持するかひっくり返すかということ。たとえば教育界のヘゲモニーを文部省が守るか、組合がとるかというように。
  3. 特定資本を独占している、つまり権威を持つ者は保守の戦略に傾く。逆に新参者はわずかしか資本を有していないので、転覆・異端の戦略に傾きがちである。状況が危機的になると新参者は、保守を擁護しようとするように変わりやすい。
  4. 新参者は、ゲームの価値を承認するために入会金を払う。つまり、教員となるために学校特有の「やり方」に従う。これによって新参者は、ゲームがどのように行われているのかを知る。
  5. 異端者の転覆の戦略は、「場」から追い出されては元も子も無いので、一定の制約の中で行われ、一般的に、俗悪化と堕落に反抗し、ゲームそのものの精神や本質に立ち返ろうとする。
  6. 利害とは「場」に属するための条件であると同時に、賭け金に対する投資である。