その108 ■足し算とかけ算・・

 ちょっと前にスポーツニュース番組で江川さんが、プロ野球選手の年俸契約更改について、「支払うチーム側は足し算、選手側はかけ算の感覚で交渉するから食い違う」という話をしていて、なるほどなぁ!と納得させられました。プロ野球選手の年俸は最初例えば一千万円クラスから始まっても、ちょっと活躍すると次の年には一気に二千万円とかに跳ね上がって、マスコミも「100%アップ!」なんて大々的に報じるわけですが、その後毎年活躍し続けても、年俸は50%アップ(三千万円)、25%アップ(四千万円)という具合に伸び率は少なくなっていき、選手側としては、「昨年以上に活躍したのに伸び率が少ない」と、次第に交渉がもつれてくる。しかし、チーム経営者側としては、年俸は伸び率(かけ算、例えば50%アップ)ではなく足し算(例えば+1000万円)できちんと評価しているのであって、要するに経営者側と選手側の評価計算方法が違うことが交渉のもつれを引き起こしているという事だそうです。確かに、超一流選手は倍々方式で年俸が伸びて行くけど、みんながそうやって増えていったら球団側はたまらないですよね。我々一般サラリーマンからしたらそれでも羨ましい限りのベースアップなんですが、やはり最初のうちは倍々で増えていくからついついかけ算感覚になっちゃうのも無理無いのかも知れませんね。

 うーん、でもこの金額に対するかけ算と足し算のマジックは日常生活でもよく感じます。例えばスーパーでお総菜が安くなっていた時に、「500円の30%引き」よりも「200円の50%引き」の方に魅力(お得感)を感じてしまうのは私だけでしょうか?これは冷静に考えると「500円の30%引き」は150円お得、「200円の50%引き」は100円お得ですから、値引き額は30%引きの方がお得なハズですよね。でもあの「50%引き」のシールを30%引きと見比べちゃうと、つい50%引きの方を手にとってしまうんですよねぇ。皆さんも広告チラシの「全品半額セール!!」なんて宣伝文句に結構弱かったりするんじゃないですか?

 スーパーでは例えば二百円程度の商品について、今日はいつもより30円安いとか結構気にするくせに、外食の時の100円程度の価格差はほとんど気にならないのは何故でしょうか?これはおそらく、スーパーの二百円商品に対する30円の方が、外食の千円メニューに対する百円よりも割合としては大きいからだと思います。つまりそれぞれの状況で金銭感覚というか、頭の中の財布の単位が違っていて、スーパーでは数百円単位で買い物するし、外食では数千円単位で考え、飲み会だと一万円くらいの単位になって、それぞれの単位に対する割合で気になるか気にならないかが決まるということでしょう。タレントの大竹まことさんが「タクシーで降りる間際に1メーター上がるとくやしいと思うけど、長距離乗ってメーターが6万円とか7万円とかになったら、1メーター上がるのなんて全然気にならなくなる」って言ってましたが、まさにこれも頭の中のお金の単位が変わった例と言えるでしょう。だって初乗りの600円に対する120円は20%アップですが、6万円の120円なんて割合で言ったら1%にも満たない、まさに誤差の範囲ですよね。そう言えば私もクルマを買ったときにカーナビを付けようか迷ったんですが、後から付けようと思っていたら結局20万円の新たな支出に踏み切れなくて未だに付けられません。おそらくクルマを買ったときだったら、数百万円の単位で+20万円はそんなに違わないと思えて結構気楽に購入できたんだと思います。あー、また頭の財布が大きくなる事ないかなぁ・・。あ!、家でも建てたときに一緒にカーナビ買おうっと!・・でもそしたら今度は家を建てるために頭の財布をさらに大きくしないと・・。

▼その109 日常生活のニュートラルポジション・・