その149 ■温泉に時計は要らない?


 温泉旅館って、あまり時計がないですよね。部屋しかり、お風呂しかり。私が思うに、おそらく旅館としては、温泉に浸かりに来たときくらい、時間を気にせずにゆったり過ごして欲しい、という配慮ではないかと推測するワケですが、でも、本当に時計がない方がゆったり出来るんでしょうか?私はむしろ逆だと思います。時計が無くて時間が分からないと、いつまで風呂に浸かってていいのかが分からないし、旅館だって結局は夕食の時間とか朝食の時間とか決まっているので、それまでの時間が分からないと心底ゆったり過ごせないですよね。時間を見て、「あと○○分は入っていられる」とか「夕食まで○時間ある」って思うからこそゆったり過ごせると思うわけです。

 スポーツで言うと、試合中に監督さんが「点数を見るな!」とか「点数見て試合をするな!」などと言って怒ったりする場面があります。あ、マラソンなんかでも、「前を走っているランナーが後ろを振り返る」という行為は何となく良くない、というか弱気なイメージが付きまとっていますよね。でもこれも私から言わせれば、一方的に勝つだけが試合ではないし、実力が拮抗した相手と戦うときは、常に相手との点差や距離から駆け引きをやプレーの判断をするべきだし、そういう部分がスポーツの面白さでもあると思うので、なんか相手関係なしでひたすら「自分との戦い」みたいな戦い方や指導の仕方はちょっと違うんじゃないかなぁと思ってしまいます。もちろん、明らかに実力が下の相手との試合の時などに、相手に合わせてダラダラ戦ってはダメなので、そういう場合は必要なんですけど・・。

 例えばバレーのゲームでは、25点を確実に相手よりも先に取るために、セッターであれば相手との点差を見てトス配分を考える、スパイカーであればスパイクの「思いっきり打つ度数」を変えたりしなければならないということを理解していく必要があります。「相手とまだ3点差あるからここはブロックされるかもしれないがクイックを1回使っておこう」とか、「相手に3点連続で取られてリードされたからこのスパイクは絶対ミス出来ないな」とか、「ここは7点差あるし、このセットはどう転んでも取れるから、次のセットのために、ミスを恐れずにジャンプサーブを全力で打っておこう」などなど。結局、バレーボールでは相手よりも先に25点×3セット取ることが求められているので、そのゴールを確実に、最も効率よく達成するためには、相手の点数と自分たちの点数を見ながら戦う必要があるってことですね。それが出来ない選手、チームは、駆け引き、計算が出来ない分、単純なパフォーマンスは同じでも負ける確率が高くなるはずです。

 これって何かに似てるな、と思ったら、トランプゲームに似てますよね?カードを順番に切っていって手持ちのカードが無くなると勝ちになるタイプのゲームです。他の人の残りカードを見ながら、自分の手持ちのカードを切る順番を考える。余裕があるときは、弱いカードを先に使っておいて、切り札のカードはここぞという時のためにとっておく。だってもし先に強いカードから切っていったら、最後の切り札(まさに切り札!)がなくなって主導権を握れなくなりますよね。逆に相手が勝ちに近づいている時はそんな余裕はないから強いカードを先に出すしか無くなる。どちらも、相手の状況と自分の状況から判断して勝ちに近づく方法を考えますよね。特にセッターは試合中にこれと似たような事を考えてトス配分しています。

 そういうワケで(?)、是非温泉旅館にも時計を置いて、ゆったり出来る時間を計算させて欲しいと思う今日この頃です。温泉旅館組合の皆さん、ご検討よろしくお願いします。

その150 時間感覚相対性理論・・