その179 ■PK戦再考・・

 サッカーのPK戦って、ちょっと酷というか、そんな方法で勝敗を決めちゃっていいの?って感じがしますが、どうですか?確かに90分間+延長30分間、計120分も戦って同点なんだから、これ以上ゲームを続けることは体力的にできないっていうのも分かるんですが、だからといって、じゃあこれから一人ずつシュートし合って、たくさん決まった方が勝ちにしましょう!っていうのは、あまりにも短絡的なのではないか、と思います。PKって基本的には、決定的な得点チャンスが邪魔された時に、その補償として設定されているので、基本的にはシュートが入って当たり前の状況設定になっていますよね。その入って当たり前のシュートを順番にやって、たまたまキーパーの予想が当たって止められたり(もちろんキーパーの能力である場合も多いと思いますが)、キックミスでゴールを外してしまったりしたことによって勝敗が決まってしまう残酷さってどうなんでしょう?ゲームの中でペナルティをもらうことによって蹴るPKも、蹴るまでの状況はPK戦と同じですが、ゲーム中のPKはたとえ止められてもその後もゲームが続くので、PK失敗がそのまま負けにつながらないし、基本的には決定的得点機の代わりのシュートなので、全体としてのサッカーゲームの得点の取りにくさという枠組みに変化はありません。しかしPK戦だけは、基本的には次々に得点が入っていく枠組みとなり、その中でたまたま失敗したことが直接の敗因になってしまいます。つまり「得点(シュート)が入りにくいサッカー」がPK戦になったとたん、「シュートを決めるのが当たり前」の勝負になっていいんですか!!(by川平)という違和感が出てきてしまうのです。さらに一人ずつ行うことで、チームプレーから突然個人プレー(いや、プレーというより単なるシュート)になってしまっています。

 そこで代案を考えてみました。例えばコーナーキック合戦。お互い交互にコーナーキックから10秒以内で攻める。ディフェンス側がサイドにボールを出すかキーパーがキャッチしたら攻守交代。これなら、チームでの戦いになるし、最後までサッカーのゲームらしい攻防になります。3回ずつやって決まらなかったらディフェンスの人数を一人ずつ減らしていけば、得点は入りやすくなっていきます。どう?

 また、1点の価値に差をつけるというやり方もあります。ラグビーでは同点で終わった時に、トライ数が多い方を勝ち上がりとしますが、これは同じ点でも、ペナルティキックによる得点よりもトライによる得点の方が価値が高いということです。これと同様にサッカーでも同点で終わった場合、インプレーからの得点数が多い方を勝ちにすれば、ゴール前でわざと転んでPKをもらう行為は減少すると思います。

 さらにダイナミックに得点方式自体を変えてしまう案。バスケットボールではより遠くからシュート成功すると3点になりますが、それに習って、ペナルティエリア外からシュートが入ったら2点にしたらどうでしょう?豪快なミドルシュートが今よりもたくさん見られますよ。ま、2点にしなくても先ほどのように、同点の場合にはミドルシュートの方が価値が高い、としてもいいかも知れませんね。

 最後に、今のPK戦を一工夫する案です。アイスホッケーでは同点で延長も終了した場合、センターサークルから一人ずつパックをドリブルして1対1でキーパーと対戦する「シュートアウト」と言われる方式で勝敗を決めています。これと同じようにサッカーでも、1対1でドリブルしていってキーパーと対戦したらどうでしょう?単純なPKとは異なり、お互いの駆け引きやテクニックが発揮されるので、運の要素は少なくなり、テクニックの勝負になって面白いと思います。

 このように、他のスポーツを参考にしながら、よりみんなの納得のいく勝敗の決め方を考えてみるのもいいのではないかと思います。サッカーは伝統のある人気スポーツですが、現代の価値観に合わせて柔軟に変更し、今の人気に安住せずに、さらに魅力的なスポーツに成長していってほしいと思います。バレーボールなどは、歴史が浅いこともありますが、4年ごとにどんどんルール変更し、「そんなに変えちゃっていいの?」ってくらい変貌を遂げています。あまり変更し過ぎるのも考えものですが、その辺の柔軟性はちょっと見習ってもいいのではないでしょうか?・・ま、それにしてもバレーは変えすぎですけどね。タッチネットやドリブルをしっかり反則としていた頃の、美しいバレーボールをちょっと懐かしく思う中年指導者からの提案でした。