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幼虫。孵化した幼虫が成虫になるまでには3〜5年,長ければ7年ほどかかります。この写真は明るい場所に運んできて撮影しましたが,普段は林内の石の下などの暗環境で生活しています。 |
摺上川上流の林内のガレ場などで見られますが,似たような場所ならどこにでもいるわけではなく,かなり生息環境が限られています。集団で行動することはなく,一つの石の下に見られるのは必ず一匹だけです。環境の変化に極度に弱く,良い環境指標になるといわれています。 |
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摺上川の源流域や上流域に流れ込む水量の少ない支流に生息しています。摺上川の生息地では個体数も多く,一ヶ所で様々な大きさ(齢)の幼虫を見ることができます。 |
幼虫。腹部の末端(正確には腹部第9-10節間)に多数の糸状の鰓を環状にそなえているのが特徴です。 |
今回は,福島で見られる貴重な昆虫を2種類紹介します。
1種類目はガロアムシです。ガロアムシの仲間は,日本からは5種類が知られていますが,世界における分布は,日本,朝鮮半島,中国,中央アジア,ロシア,北アメリカ大陸北西部と,非常に限られています。このような得意な分布と成虫になっても翅をもたないことなどから,ガロアムシは遺存種的な昆虫であるといわれています。その形態がハサミムシ,ゴキブリ,カワゲラ,コオロギなど「直翅目系昆虫」の特徴をいくつか合わせもつことから,これらの昆虫の祖先に近縁な昆虫であると考えられてきました(最近の分子生物学的な研究からは,必ずしもそうとはかぎらないという結果も得られています)。
さて,日本は,ガロアムシを産する他の国にくらべると,比較的生息密度が高く,広範囲に分布することが知られています。とはいっても気温や土壌温度が年間を通じて比較的低く,土壌湿度が高いところにしか生息していません。福島では摺上川上流域の林内のガレ場などの石の下で見ることができますが,個体数はそれほど多くないようです。成虫になっても翅や単眼を欠き,幼虫時代は写真のような乳白色をしています(成虫になると体は褐色になります)。ガロアムシという和名は1916年に日本ではじめてこの虫を見つけたフランス人,ガロア氏を記念したものです。
卵から孵った幼虫は成虫になるまで約3年かかります。成虫は秋に羽化しますが,幼虫時代を過ごした水域からあまり離れずに生活します。1925年に十和田湖畔の小さな沢で初めて幼虫が発見されたことから,「トワダカワゲラ」の和名がつけられました。福島市北部を流れる摺上川の源流域では個体数も比較的多く,また穴原付近のような比較的標高の低い地域にも分布が知られています。
このように,摺上川上流域には今回紹介しましたガロアムシやトワダカワゲラ以外にも数多くの貴重な昆虫が生息しています。ダムよりもずっと上流域とはいえ,その影響がどのように現れるのか大変心配です。このような「生きた化石」と呼ばれる貴重な昆虫だけでなく,さまざまな昆虫が生活できる環境を維持できるよう,人間が努力していきたいものです。
最終更新:2000.6.11