大学構内で目に留まる生き物(春編

福島はここ数日,初夏を思わせる暑い毎日が続いています。大学構内にもたくさんの生物たちが顔を見せ,一年で一番楽しい季節となりました。最近はブタナも咲き始め,越冬から覚めて緑色になったオオムラサキの幼虫もずいぶん大きくなりました。ゼフィルスの幼虫も多くのものが終齢になり,中には蛹化の準備をはじめた個体もいます。今回は,蝶の幼虫3種と大学の図書館脇の小さな林の中で見つけた白い花をつける植物を紹介します。

クロミドリシジミ

クロミドリシジミ Favonius yuasai の幼虫

この種は雄の翅が黒銅色に輝き,ミドリシジミ類の中では特異です。クヌギやアベマキを食樹としていて,福島には広く分布しているので,毎年もしかしたら・・・とこの時期は大学構内にある1本のクヌギの樹幹を観察してきました。そして6年目にして,やっと出会うことができました。でも,まさか大学構内で本当に見られるとは思いませんでした。

 オオミドリシジミ 

 オオミドリシジミ Favonius orientalis の幼虫の体液を吸うアカサシガメ Cydnocoris russatus

1本の枝に十数卵の産卵を確認し,そのうち5つが終齢幼虫にまで成長したことを確認しました。4個体はおそらく蛹化したため,姿を見せなくなりましたが,最後まで残っていた1個体が元気に食事をしているのを朝,確認し,昼前に写真を撮りに行ったところ・・・。

オオムラサキ

オオムラサキ Sasakia charonda 幼虫

この幼虫は今週はじめまでまだ褐色で,つい最近脱皮して緑色になったようです。

オオムラサキ

脱皮したての幼虫を横から写真に撮ろうと枝をつかんだとたん,上半身を持ち上げる姿勢をとりました。威嚇の姿勢なのか,しばらくこの姿勢のまま動きません。

オオムラサキ

この幼虫は越冬後ずいぶん時間がたっているようで,まるまると太っています。このエノキには越冬前には10頭ほどの幼虫を確認しましたが,結局越冬できたのは2頭だけでした。

ギンラン

ギンラン Cephalanthera erecta

この場所にはササバギンランもありましたが,ほとんどがギンランで可憐な白い花を咲かせていました。林内にひっそりと1株ずつ生える植物かと思っていたら,十数個体がまとまっていて,びっくりしました。

ギンリョウソウ

ギンリョウソウ Monotropastrum globosum

この植物は腐生植物で,地上部はすべて銀白色。葉緑体を持たないので,自分で有機物を作ることもできません。林道の真ん中に突然生えていたりすると,ぎょっとしますが,林内にあるのを見ると,その美しさに魅せられます。

福島大学の構内は自然度の高い環境がたくさん残されています。そこにはたくさんの生物が生息し,季節季節にその可憐な(時にはグロテスクな)姿を見せてくれます。中にはそれほど個体数が多くなく,学術的に貴重な生物もいます。より多くの人(特に大学当局の偉い方々)にこの素晴らしいキャンパスの価値を知っていただき,むやみに駐車場にしたり,建物を建てたりしないようにしていただきたいものです。

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 2003.4.1. 最終更新